「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」、待ちに待った第6章がついに公開となりました。
第5章からの間が、これまでよりひと月長い5カ月以上あったこともそうですが、あの強烈な予告編を見せられてからの4カ月ですから、そのお預け感は大変きつかったです。
反面、その予告編で登場したヤマト同型艦「銀河」の出現をめぐっては賛否両論が駆け巡り、とりわけかつての「さらば宇宙戦艦ヤマト」に愛着が強い人にとっては嫌悪の産物にしか映らなかったかもしれません。
わたしも、旧作を小学6年の当時にリアルタイムで見て、生まれて初めて映画で泣いた経験をした身分ですが、「銀河」を毛嫌いする気持ちは全くありませんでした。
「なるほど、そうきたか。それもありだよな」。そんな印象でした。
だって、ヤマトといえば旧作を含めて、これまでサプライズの連続だったわけじゃないですか。
だからこそ僕らは「ヤマト」というコンテンツに引き寄せられてこれまで生きてきた、そう断言してもいいと思うのですよ。
というわけで、第6章の見どころ、もう何からいいか迷うわけですが、ここは敢えて、「新選組」で行きたいと思います。
「新選組? 何をいまさら?」そう思うオールドファンの気持ちは重々承知の上!少し長いですがお付き合い下さい。
沖田艦長が語るこれまでのあらすじとささきいさおが熱唱するOP(イスカンダルにはいかないので2番の歌詞が使われているんですよね)が開けて、本編冒頭5分も経たないうちに、ヤマト型2番艦「ムサシ」、じゃなくて「銀河」がさっそうと登場。
彗星帝国から放たれたミサイルを振り切れずあわやの事態に陥っていた山南修が艦長を務める新鋭艦アンドロメダを、強力な波動防壁で覆い包み救出しました。この辺まではYouTubeで先行公開されている本作冒頭11分の動画で確認することができます。
「銀河」を指揮するのは若き女性艦長・藤堂早紀。地球防衛軍司令長官・藤堂平九郎の娘です。
ちなみに、旧作「宇宙戦艦ヤマトⅢ」にも藤堂長官の娘・藤堂晶子というのが出てきていて、ヤマトの通信担当・相原義一といい仲になったりするわけですが、次元断層のイタズラなのか、本作では違う設定になってるようです。
まだ20歳代の彼女ですが、どこか冷たさもあり可愛らしさも若干見え隠れし、それでいて毅然とした指揮官ぶり。その背景はこの賞の中で徐々にベールを脱いでいくことになります。
そして、同じく本編冒頭には注目すべきやりとりが登場します。
彗星帝国内に内包されている複数ある星の一つに引き込まれていくヤマトの中で、艦長・土方竜は全乗組員の退艦を命じます。
その時のセリフ「生き延びよ」「頼む」という言葉。これをしゃべっている声の主は石黒運昇さん。
ご存知のように、石黒さんは今年8月にきゅうせいされたわけですがその最後のセリフがこれだったのです。いやあ、これは心にしみますよね。このセリフだけでも、この作品を見てよかった気持ちにさせられました。
なお、石黒さんの出演は第6章の最初の回=第19話までで、これ以降は楠見尚己さんが土方の声を担当しています。ほとんど違和感がありませんが、少し声の張りが強い感じが良い雰囲気を醸し出しています。
一方、本作では微妙な立場に立たせれ続けている新鋭艦アンドロメダとこれを預かる山南にも、ドラマが用意されていました。
次元断層で果てしなく新鋭艦が建造されていく中で、徐々にAI化と乗組員の削減が進み、生還後大幅な修理が完了したアンドロメダはついに乗員は艦長・山南ただ一人に。
要するに、拡散波動砲がぶっ放せる巨大戦闘機になってしまうわけです。
こんな未来を誰が欲した?そんな疑問への答えは別のシーンで用意されているのでご安心を。
ブラックアナライザーには聞いてない!
彗星帝国の物量作戦に対抗し、特攻を試みた山南はようやく再起動したヤマトを発見、我が身を引き換えにヤマトを彗星帝国の重力圏から脱出させます。
最後は満身創痍になりながら、銀河の助力も得てヤマトは重力圏路脱出。しかしアンドロメダはそこで力つき彗星帝国の雲海へと沈んでいきます。「もはやこれまでか」。腹をくくった山南でしたが・・・。ここでの、山南の行方を見つめる土方の表情の移り変わりがすばらしい!
ここまで読んできて、お気づきでしょう。
あらすじを語る「沖田」から始まって「土方」「山南」そして「藤堂」と。これみんな、新撰組の志士たちの名前なわけですね。
旧作からヤマトを愛するファンであればとうにお気づきのことなのですが、この章でここまで見事にその名前がリンクしている様を見ると、よくできてるなあと改めて感心してしまうのです。
そのヤマトにおける新撰組名義といえば、忘れてはいけないのが空間機動隊の斉藤始とその部下・永倉志織。
この二人にも重大な問題が発生します。それは最後までご覧になってのお楽しみ。
そうそう、新撰組関連でもう一人、地球防衛軍統括司令副長の芹沢虎鉄がいますね(さらに新見薫、山崎奨も新撰組がらみ。共に見せ場はあります)。
芹沢というと、「2199」の前史で、元来ヤマト計画と対立するイズモ計画の頭目であり、ヤマトクルーにとっては敵役。
しかし、芹沢にも芹沢なりの愛の形というのがあることを、本章でしっかり描かれているのです。
物量作戦を指揮する中で芹沢はこんなセリフをつぶやいています。
「未来の子供たちのために、我々は負けるわけにはいかないのだ(大まかな記憶ですが大体こんな感じです)」
愛の形は立場次第で様々。それは地球の前に立ちはだかる大帝ズオーダとて同じこと。
果たしてそれぞれの愛は本当に相入れないものなのか。そのカギを、古代進がどうやら握っているようです。
その決着が明らかになる最終盤、第7章まで、また5ヶ月待つことになります。それまで、現在放送中のテレビ版を見ながらじっくり待つことにしましょう。