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お勉強になるアニメ「はたらく細胞」第1話無料配信、NHKで放送したらいいんじゃないかな
7月スタートの深夜アニメも、そろそろ一通り第1話が出揃ったところですが(「進撃の巨人」3期がまだですが)、本日はその中から注目作の一つ、「はたらく細胞」について。
人の体内を巨大な生産プラントのように描き、臓器の間を動き回る赤血球や白血球、リンパ球に血小板などが擬人化キャラとなって日々労働に従事するという、ちょっとシュールな日常アニメと言えばいいでしょうか。
「はたらく細胞」第1話無料配信中
メインキャラとなるのが前身赤い作業着をまとった赤血球(CV:花澤香菜)、色指定を拒否したような肌から着てるものから真っ白な白血球(CV:前野智昭)、メイド服のような姿で言葉遣いが上品なマクロファージ(CV:井上喜久子)、幼稚園児のよいうなロリ系キャラの血小板(CV:長縄まりあ)など。
新入りで迷子になりやすい赤血球
赤血球は宅配便の搬送員よろしくダンボールに詰め込んだ酸素をカートに乗せて駆けずり回り、白血球は場内に踏み入ってきた肺炎球菌を短刀を振り回して血も涙もなく(血ですけどね)駆逐したりと 日々忙しく働いている、というのが作品全体の世界観。日常アニメのような和むシーンがあったかと思えば、急に殺伐としたバトルが展開されたり。目まぐるしい場面転換は見ている側を飽きさせません。
雑菌あるところ白血球あり
「この雑菌野郎!」
それぞれのシーンは他のアニメでもよく見るものではありますが、そこに堅苦しい漢字が並ぶ馴染みのない(とは言えどこかで聞いた程度のレベルなので苦にはならない)医学用語と言うか生理学用語が添えられるのがシュールで面白いのです。そして彼らの喋るセリフは、どうやら実際の体の中の働きと一致しているので、人によっては「ちょっとそこにある『家庭の医学』で調べてみるか」という思いに駆られることでしょう。
古風なメイド姿のマクロファージさん(17歳)
何故か幼児の血小板
要するに、何かと小難しい体の中の仕組みを、今どきならではのアニメ表現を使ってわかりやすく再現するというのが本作の狙いと言っていいでしょう。それにしても最近のアニメはほんと、勉強になります。
そもそもこういった健全な内容のアニメは、NHKで放送されるべきでは?そう考えるのは私だけではないでしょう。実際、この「はたらく細胞」の他にもNHKでこそやればいいのにと思ってしまうアニメ、増えてますよね。今年春に放送された「宇宙よりも遠い場所」などもその代表格。良質なアニメを世に送り出し続けるTOKYO MXの功績は大いに評価されるべきですが、圧倒的な数の視聴領域を抱えるNHKの力は侮れません。
ほんと、「進撃の巨人」なんかやってる場合じゃありませんよ公共放送さん(それはそれで見ますけどね)。
国民最大の関心事!「まいかた」ではなく「ひらかた」な真実とは?
本日2018年6月18日7時58分に大阪府北部を震源に起きた地震で被害に合われた皆様、謹んでお見舞い申し上げます。
その大地震に関連して首相官邸で開かれた記者会見で、菅官房長官が「枚方市」のことを「まいかたし」と発言してしまい、Twitterなど方方からツッコミが入ってますね。さすが関西人、逆境でも笑いの種には敏感なんだなと、少し安心しました。
でも、そもそも「枚方」と書いてなんで「ひらかた」と読むのか、皆さんご存知なんでしょうか。
「え?」とリアクションした関西人の皆さん、「ぼーっと生きてるんじゃねえよ!」(チコちゃん:5歳)
てことで、ネット界隈を雑に調べてみました。
Wikipediaで「枚方市」を閲覧してみると、こうありました。
「継体天皇24年(530年?) : 日本書紀に枚方が比攞哿駄(ひらかた)として初出」
継体天皇、皆さんご存知ですか?スマホ天皇はいませんよ。聖徳太子よりも遥かに古い6世紀前半にはもう「ひらかた」はあったようです。しかも「比攞哿駄」って、これ絶対読めませんよね。
日本書紀が完成したのは8世紀ですから、まだ漢字の用法は今のようにこなれていない時代です。ひらがなもカタカナもまだありません。
他にも、ここのサイトによると、湖の畔だったことから平らな潟で「ひらかた」になったなど諸説ある模様。
あと、直近朝日新聞もこんな記事を書いてます。このタイミング、ゾクッとしますが。
なるほど、枚方の由来自体はわかった気がしますが、肝心なのは、「枚方」の「枚」を「ひら」と読むのか、です。9年前に上がっていたヤフー知恵袋に同じ疑問をもった投稿がありました。そしてそこには極めて納得度の高い回答が。
“「1枚をひとひらというから不思議じゃない」というのは完璧に正しい回答です。
漢字の訓読みとはそういうものです。
『常用漢字表』に出ているものだけが読み方ではありません。
「枚」という中国語用に作られた字を日本人が「ひら」と読んだのです。
「ひらべったい」と言うときの「ひら」と語源は同じです。
「平」「片」「枚」などに共通するものです。
「常」という漢字は、日常的には「つね」と読みます。
「常滑(とこなめ)」では「とこ」と読みます。
「とこしえ」の「とこ」と語源は同じです。”
いやこれ、目から鱗が落ちる音がボトッと聞こえましたよね。
でも、だったら「枚」なんてややこしい字を使わずに「平方」とかにしておけばよかったのに。
日本語とはつくづく、めんどくさい言葉なのです。
ところで、枚方市といえば全国的にも有名なのが“ひらパー”ことひらかたパーク。
しかし、当然といえば当然ですが本日は臨時休園だそうです。
現地の状況が心配されます。一日も早くひらパーに賑やかな笑い声が戻ってくることを願ってやみません。
「デビルマン」「A.I.C.O」で攻める、Netflixの日本アニメ戦略の本気度
映像配信サービスの巨人、Netflixが、ここに来てアニメを武器に本気で日本市場を取りに来ている。
その第一の矢は、今年初頭に配信を開始した「デビルマンcrybaby」だった。ご存知、巨匠・永井豪による不朽の名作の再アニメ化(再々だったか再々々だったかは忘れた)だが、これまでの映像化の中で最も原作漫画の意を汲んだ作りだと言うのが大方の評価だ。つまり、原作を最後までお読みの方ならご存知であろう、あの衝撃的なラストの描写も、ストーリー展開こそ今風にアレンジされてはいるが、きつい表現を臆面なく映像化しているのだ。そのためもあってか、いや、それがやりたかったからか、本作品は日本のテレビ局はどこも放送していない。見たいならNetflixの会員になるしかないのだ。
ここまでは少し前の話。「デビルマン」なんて興味ない、という人にとっては関わりのない話で終わる。
しかし、それから2ヶ月後の3月第二の矢、第三の矢が立て続けに放たれた。
一つは「A.I.C.O.」もう一つは「B: The big inning」。前者はボンズ、後者はプロダクションIGが制作。いずれも日本を代表するアニメ制作スタジオが手がけるオリジナル作品にして意欲作だ。
「A.I.C.O.」は、今より少しテクノロジーが進んだリアルな日本を舞台に、突如起こった国家を揺るがすバイオハザードアクシデントに関わった一人の少女「アイコ」を中心に展開されるSF作だ。監督は村田和也。「翠星のガルガンティア」「正解するカド」など大きなスケールで描くSF作品を生み出して来た手腕に、筆者はかねてから注目していた。その最新作への期待と興奮は隠しようがない。
脚本、作画、音響まわりの質の高さは言うまでもないが、本作で注目すべきは、配信と同時に全12話(1話25分)が公開され初回から最後まで一気に見れてしまうことだ。もちろん、Netflixのサービス全体が有料制のため、余計なCMも広告バナーも表示されない。その気になれば300分ノンストップで劇場映画レベルのアニメが見れてしまう。月々980円で、だ。
昨今、「宇宙戦艦ヤマト2199」や「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」のように時間をかけて高品質に仕上げた連続ものアニメを劇場で数ヶ月ごとに公開する方式がビジネス的成果をあげている。Netflixがやろうとしていることは、これを自宅のみならずスマホやiPadなどモバイル機器など環境を選ばず実現できる状況を作ることだ。
さらに、NetflixがボンズやIGとかわしている契約は1作品ごとではなく、今後複数年に渡っての包括契約だという。品質保持を考えると1クールに1本というわけにはいかないだろうが、1年に2~3本、「A.I.C.O.」レベルの作品に出会えるならば、アニメファンにはたまらない未来が待っていることになる。もちろん、今回の2本がビジネス的成果をあげることになれば、ほかの有力アニメスタジオがこのラインに参入してくることも大いに期待できる。
もちろん、Netflixのやり方に合わないというアニメスタジオもあるだろうし、単純に儲けを独占させてなるものかと、いきり立つライバルも当然出現してこよう。だが、それこそが最大の好機と言えるのではないか。
Netflixにくみさない勢力も、現状このままでいいと考える者はいないだろう。コメント機能など独自の機能と世界観でこれまで先導してきたニコニコ動画などはその最有力候補に違いない。人気コンテンツとの関わりを多く持つバンダイも、すでに新たな動きを開始しているかもしれない。いずれにせよNetflixにはない付加価値を強調し、さらに映画並みかそれ以上のコンテンツを配信する業者が1つでも出てくるなら、日本のアニメコンテンツ市場は真の新たなステージへと昇華するだろう。